物書き・お絵描きの妖精社

薄くない本を出し、図鑑や美術書まみれの書斎を作る

早稲田祭2025の声優さんによる朗読劇でボツになったシナリオ

相も変わらずアニメ「しゃばけ」の鳴家が可愛すぎますな。

3話のむくれてる鳴家がめちゃくちゃ可愛くてですな。

ネットで「アニメ しゃばけ 鳴家 可愛い」とかで検索して、画像がヒットしないかしらとか思ってたら自分のブログ記事がヒットしててわろた。

そうじゃねぇよ。

ただ、3話は可愛い鳴家からの屏風のぞきのあれでちょっとつらかったですなぁ……。

 

今季のアニメやらドラマやらは個人的には充実しておるのですが、最近は嫌なことばっかりで本当は「妖精社 ブチギレ怒りのデス・ロード」みたいなタイトルのブログ記事を書いたろかと思っとったくらいです。

 

今日はタイトルの通り、来月の11月に開催される早稲田祭にて声優さんによるトークショーの朗読劇でボツになったシナリオを公開しようと思います。

クレジット表記ありで自分のシナリオを有名声優さんに読んでもらえるかも~とワクワクしておったのですが、ボツでした。

おそらくだけど、もし採用されてたら八代拓さんか小林千晃さんのどちらかに読んでもらえてたんじゃなかろうか。
佐助とマッシュ……。

二次利用等も一切しないということだったので、ここで公開して、無事成仏させて、別途自分で短編小説かなんかでまたコンテンツマーケットで出そうかなと考えとります。

以下、ざっくりとしたシナリオをそのまま掲載するので興味のない人は読み飛ばしちゃってくださいな。

ちなみに、著作権フリーではないです。

あしながおじさん的な人が「ほっほっほっ、わしがこのシナリオを買い取ろうじゃないか」とか言ってくれないかしら。

 

~~~ここからシナリオ~~~

 

僕…「あおい」という名前の大学生

N…あおいによるナレーション、語り

はる…あおいと同じ大学生

教授…大学教授で、あおいともはるとも面識あり

 

僕「いやぁ~、今年の早稲田祭も盛り上がってるなぁ~」

 

N:独り言にしてはずいぶんと大きな声が出てしまったのだが、幸いなことに僕の声は屋台前の呼び込みにかき消された。屋台に近づくと、いかにもおいしそうなにおいがしてきて、次から次へと手が出てしまいそうになる。

……いやいや、さっき昼飯食ったばっかりだし。さすがに食い過ぎだよなぁ。せめてもうちょっと時間が経ってから……って、そもそも今、何時だっけ?

時間を確認しようとポケットの中のスマホを探ると、指先にカサリと何かが触れた。

 

僕「……あれ?」

 

N:取り出してみると、それは四角く折りたたまれた白い紙だった。チラシだろうか。

 

僕「チラシなんてもらったっけ?」

 

N:折りたたまれた白い紙を広げてみると、それは手書きの地図だった。だいぶ大味な仕上がりだ。今いる場所から真っ直ぐ進み、右に1回、左に1回曲がったところに印がつけられている。しばらく考えて、ピンときた。

 

僕「あぁ~、はいはいはい。ここに行けば何かあるってわけね。早大生もいろんな企画、思いつくよなぁ」

 

N:地図の示す場所まで行くと、そこには真っ白いプレハブ小屋のようなものがあった。近くまで行って、その周りをぐるりと一周するとようやく入り口を見つけた。なかなか凝った造りだ。中に入ってみると、中央に丸いテーブルがあってそこには知った顔が2人並んでいた。同級生のはるちゃんと僕の所属している研究室の教授だ。

 

はる「あれ? あおいくん?」

僕「はるちゃん! それに教授も」

教授「君もこの地図を?」

僕「ええ、はい。これ、どういう企画なんです?」

教授「さぁ、私にもわからんね。まぁ、とりあえず掛けたらどうだ。椅子はちょうど3人分ある」

 

N:そう言われて、僕も椅子に腰を下ろした。すると、ピコンという音とともに壁に文字が浮かび上がった。

「この中に宇宙人がいます。さて、誰が宇宙人でしょうか? 誰が宇宙人なのか当てるまで、ここからは出られません」

 

はる「あ~、なるほど。誰が宇宙人なのか見破れってことね」

教授「……ほう、確かに外に出られなくなっている。これはなかなか本格的な企画だ」

 

N:納得したように頷くはるちゃんと、入り口を確認している教授。その2人を視界の端に捉えながら、僕は尋常ではない量の冷や汗をかいていた。なぜならば、僕こそが宇宙人だからだ。どう考えてもこの企画は僕を狙ったものだろう。

……はるちゃんと教授はどっち側なんだ? 僕を狙ってる側なのか、それともただ巻き込まれただけなのか。

 

はる「……でも、せっかく企画自体は面白いのに宇宙人ってのがねぇ……」

教授「そうかい? 宇宙人なんて心躍るテーマじゃないか」

はる「ああ、そうですよねぇ。教授は宇宙人信じてる派ですもんねぇ」

教授「信じてる、ではなく、宇宙人は間違いなく存在するんだよ。宇宙がどれだけ広いと思ってるんだい。人類が地球にしか存在しないなどという発想は、それこそ地球人の傲慢だよ」

はる「宇宙人なんて存在したら困るんですよ」

教授「なぜだい?」

はる「絶対に悪いことをするに決まってるからです」

教授「それは君、宇宙規模の差別だよ」

はる「でも、宇宙人って地球を侵略しようとするじゃないですか」

教授「SF映画の見すぎだね」

はる「どっちにせよ、もし万が一、億が一、宇宙人なんてものがいたら私がこの手でしめます」

教授「こらこら、鶏じゃないんだから……ただ、まぁ、私も宇宙人の生体には興味があるのでね。もし君が宇宙人をしめてしまったとしたら、解剖させていただこうかな」

 

N:……まずい。冗談めかして、しれっと宇宙人カミングアウトをしようかとも思ったが、今それは絶対にまずい。

 

はる「あおい君はどう? 宇宙人いると思う派? いないと思う派?」

僕「ど、どうだろう……強いて言えば、どっちでもないかな……。あはは……そ、それよりさ、どうやって誰が宇宙人なのかを当てる? 当てないと出られないんだよね」

教授「そうだねぇ……宇宙人は存在する派に、宇宙人なんて存在したら困る派。そして、どっちでもない派。バランスが取れていると言えばそうかもしれないが、これじゃ結論が出なさそうだ。そもそも何をもって宇宙人だと判断すればいいのか、私たちにはわからない。いっそのこと、わかりやすい特徴でもあればいいんだが」

はる「触覚とかですか?」

教授「そうだね。あとは擬態能力とか……」

 

N:はるちゃんと教授が楽しげに話している間、僕は愛想笑いを浮かべなら必死で考えた。ここで僕が本物の宇宙人だとバレてはいけない。しかし、ここから出るためには僕が宇宙人だという答えを2人に導きだしてもらわなければならない。どうする、どうする、どうする……そして、僕ははっと気づいた。

 

僕「……あの、1つ提案があります」

はる「なになに?」

教授「聞かせてもらおうじゃないか」

僕「まず、誰が宇宙人なのかを問われている時点で、少なくともこの中に宇宙人がいる前提で考える必要がありますよね。ただ、ここにいる全員がそもそも宇宙人を見分けるすべを持ちません。でも、別に答えを一人に絞り込めとは言われていませんよね? それなら……」

 

N:僕は2つの作戦を思いついた。

1つ目は全員で示し合わせておいて、僕がはるちゃんを、はるちゃんが教授を、教授が僕を宇宙人だと答える作戦。この作戦なら確実に僕が答えに入るし、2人には3つの選択肢の中のどれが正解だったのかわからないので僕が宇宙人だとバレることもない。

2つ目は全員が机に顔を伏せた状態で宇宙人だと思う人をそれぞれ指し示す作戦。この作戦ならお互いが誰を指し示したのかわからないし、僕は僕自身を指差せばいいだけ。

 

【1つ目の作戦を選択した場合】

 

僕「数撃ちゃ当たるの精神で、全員がそれぞれ違うメンバーを宇宙人として答えれば僕たちは自動的にここから出られますよね。選択肢が3つあって、その中に確実に正解が含まれているなら、全部選択しちゃえばいいんですよ」

はる「確かに~」

教授「ふむ、味気ないがそれが一番手っ取り早いな」

 

N:誰が誰を宇宙人として答えるのかを決めると、壁に浮かび上がった文字に向かってそれぞれ答えを告げた。

 

僕「僕ははるちゃんが宇宙人だと思います」

はる「私は教授が宇宙人だと思います」

教授「私はあおい君が宇宙人だと思う」

 

N:すると、どこからともなく「タラララッタラー」という音が響いてきて、壁に新しく文字が映し出された。

「全員正解です! 皆さん、これからも地球での地道な活動に励んでください」

しばらく全員がぼうっとその文字を眺めていたが、その後はお互いの目を見ることができず、何とも言えない気まずい空気が流れたのだった。

 

【2つ目の作戦を選択した場合】

 

僕「それぞれが宇宙人だと思うメンバーを答えればいいと思うんです。でも、『お前が宇宙人だ!』なんて面と向かって言ったら今のご時世、ハラスメントとかコンプラ的にも問題になりそうじゃないですか。なので、お互いに机に顔伏せた状態で宇宙人だと思う人を指し示すようにしたらどうでしょう」

はる「あ~、あったあった。小学校で先生がよくやってたやつね」

教授「ふむ、それも一理あるな。よし、やってみようじゃないか」

 

N:全員が机に顔を伏せて、「せーの」の掛け声で静かにそれぞれが宇宙人だと思うメンバーを指差した。すると、どこからともなく「タラララッタラー」という音が響いてきた。全員が指差した手を下げて、ばっと顔を上げると壁に新しく文字が浮かび上がった。

「全員正解です!」

そのあと、壁には映像が映し出された。机に顔を伏せている僕たちの映像だ。「せーの」の掛け声のあと、3人全員が迷うことなく、それぞれ自分自身を指差していた。何とも言えない空気の中、外へ出るための出口がぱかりと開いたのだった。